1903年に神谷伝兵衛が日本初の本格的なワイン醸造を現在の茨城県牛久市で創業した。当時、ワインは大衆には広まっておらず、タンニンの効いたワインを売り出すには、それなりの苦労をしたのだろう。伝兵衛は、ワインやブランデー等を甘味料で味を甘く整え、それを売り出した。これが有名なハチワインや電気ブランである。
電気ブランは特に有名で、太宰治の「人間失格」の中でも、その妖艶たる旨味が酔いを早くするなど書かれている。電気ブランで思いつく浅草の「神谷バー」も彼が創業した。
派手な装飾はないが、ぶどうの蔦のモチーフがあったりと、ワイン醸造所であったことが窺える。ちなみに現在では、オノエングループが管理しており、少量ではあるがワイン醸造を再開させそうな記事を見かける。地域復興の1ツールとなっている地クラフトビール「牛久ビール」も売られており、こちらがすごく美味しい。
レンガ作りの醸造所には、輸送用のレールが敷かれていたそうだ。そして、あたり一面は葡萄畑であった写真が残されている。現在では、住宅街が広がり、牛久駅の周りは商業施設が軒を連ねている。
建物内は、ひやっとしており少しコルクのような香りがして心地よい。ちょっとアメリカンな雰囲気を感じる。
2階には、当時使われていた圧搾機などなどが所狭しと展示されており、非常に見応えがあった。入館料無料というか、なんか開放されているだけの建物となっており、商売っ気がない。
地下のセラーもあり、ここは若干だがアルコールの燻した香りのようなものがした。
GRがあると、いろいろな場所に訪れたくなってくる。若干、写真を撮ることに雑になっている感じの否めないが、まあそれはそれでいいのだろうな。知らんけど。