Kikroing on the Tree

日記とポートフォリオ

SWCの試写は旧公衆衛生院にて

HASSELBLAD SWCについて

SWCという超広角専用カメラを購入した。SWCは、Carl Zeiss Biogonというレンズのために開発されたカメラだ。Biogonは卓越した描写性能を誇っていたが、フランジバックが短いという欠点があり、通常のラインアップである500系統のボディでは対応できなかった。そこで、HASSELBLAD社はこのBiogonためのボディとしてSWCを開発した。通常のHASSELBLADのボディよりも小さく設計されており、カメラ自体がこぢんまりしていてかわいげのあるフォルムだ。

SWC

外付けファインダーにて構図を合わせ、ピントは目測にて調整する。かなり尖ったカメラの部類に入るだろう。

 

旧公衆衛生院

公衆衛生院は、1938年に米国ロックフェラー財団の後援のもと、国が国民の保健衛生の研究・普及のために設立した機関である。この公衆衛生院のために建てられた建物は、2002年まで実際に使用されていたとのことだ。2009年に東京都港区がこの建物を取得し、歴史的建造物として保存しながら郷土歴史館「旧公衆衛生院」として利活用を始めた。

www.minato-rekishi.com

 

SWCには期限切れACROSを詰めて

広角レンズで撮ってみたいと思っていたエントランス。広角レンズの難しさとして、「余計なものが入るから難しい」というものがあると思う。これには私自身少し異論があり、確かに主題がはっきりした方が写真として見やすいしインパクトがあると思うが、余計なものが入った写真の方が有機的で場面をよく捉えていると思うのだ。

 

この建築の見どころの一つは、大講堂。講師側が低くなっている教室は、小説に出てくる大学の雰囲気を感じる。

 

整然と椅子が並んでいる。一直線にビシッと決まっているのはBiogonの光学性能の賜物であろう。

 

かといって少し気を抜くと水平が取れていない間抜けな写真になってしまう。都内にこれほど大きな歴史的建造物が残っていることなんて知らなかった。

 

目測とは言え、ほぼほぼ無限遠固定で撮ることが多いこのカメラは、「写るんです」に近い感覚でシャッターを押せる。次は、風景ではなく、ポートレートを撮ってみたいものだ。