Kikroing on the Tree

日記とポートフォリオ

そのカメラと共に(HASSELBLAD編)

 

出会いはロンドン

今思えば滑稽な話だが、イギリスに行くのに一眼レフカメラを持っていかなかった。せっかくイギリスに行くのだから、周りの風景やルームメイトとの写真を撮るために、中学生の時に購入したNikon D7000を持っていけば良かった。しかし、どういうわけか持っていかなかった。

 

チェキが流行っていた。テンポ良く友人が写真を撮る姿に、私の写欲に刺激を与え、気づけばずーっとカメラをネットサーフィンしていた。せっかくイギリスにいるのだがら、エンサインやダルメイヤー、テーラーホブソンに関係したカメラでも買おうかと思ったが、実用に困ることが目に見えていたので、比較的実用的でイギリスで買っても、良い感じな、HASSELBLADの勇姿に魅了されたのを覚えている。


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当時、私はロンドンから1時間の地方都市にて滞在していた。HASSELBLADを品定めするために3回ほどロンドンまで行ったことを覚えている。ちなみに、ロンドンでカメラを買うなら、大英博物館周りに中古カメラ屋が固まっているのでおすすめだ。トッテナムコート駅からラッセルスクエア駅の間らへんに集まっている印象だ。もちろんライカも見た。しかし、この当時はまったく触手が伸びなかった。(小声:Nikon D3も興味本意で買っちったが、趣味性のかけらもなかったので売ってしまった)

 

なぜ日本で買わないんだ?

「Why you buy camera here?」

クラシックカメラを買うなら、安い値付けで状態の良い玉が転がっている日本で買えば良いのに、どうして日本人がロンドンなんかで買うんだ。計算もできな」を言われた。一瞬でコミュニケーションが取れた。英語なんて必要ない。必要なのは、カメラへの情熱と少しのいやらしさだった。

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とは言え、日本までカメラを取りに帰るわけにもいかない。思い出にもなるかなと思って、状態Mint-程度のものを結局購入した。これが私がHASSELBLADを購入するまでの過程だ。

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カメラがある生活はいきいきとした。

HASSELBLADを買ってから以前よりもシティセンターに出かけたり、老舗の八百屋で食料を調達したりと生活に活気が生まれた。カメラが私を外に連れ出してくれたのかもしれない。それまでは、少し外の生活に億劫になっていたこともあり、カメラのおかげで日常の英語への対応レベルが上がった気がする。

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HASSELBLADは、フィルム時代の500C/Mという機種を購入したため、フィルムの現像が必要となってくる。街のカメラ屋さんで現像を頼むこともあった。そこには、ご存知の通り、日本メーカーのカメラが所狭しと販売されており、カメラ屋の店主がこちらが日本人であることを知ると話が盛り上がった。

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海外で日本のものを目にすると、故郷を感じたり、国に誇りをもったり、いろいろな感情がひしめき合う。おそらく、留学の本質はここにあるのだと思う。そんな体験も自分一人ではできなかっただろう。このカメラがいろいろな体験をさせてくれたと言っても過言ではない。それだけ思い入れが詰まっているカメラだ。

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帰国してからの悲劇と出会い

帰国後、相棒に悲劇が訪れた。光線漏れだ。とりあえず、当時住んでいた大阪市内のカメラ屋さんはほぼほぼ周り、そのなかの一店舗に修理依頼をお願いした。この時、多くのカメラ屋さんを巡ったおかげで、今でも付き合いがあるカメラ屋さんができたのは、大変嬉しいことだ。

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修理は、1ヶ月ほどかかった。日本でHASSELBLADを純正部品を使用して修理できる人なんて手のひらで数えるぐらいしかいないそうだ。おおよそ元シュリロの人なのだろうか。詳しくは知らないが、メンテナンスを行える方々は、横のつながりがしっかりとあるような話ぶりであったことを記憶している。

 

1ヶ月の入院後、完璧なオーバーホールから戻ってきた500C/Mの中身は、ほぼほぼ新品同然になった。実用機として購入したものは、本当に動けば良いという水準で組まれていたそうだ。そこをしっかりと1から組み直していただいた。本当に動作がスムーズになり、寸分の狂いもないというようなフィーリング(このフィーリングは後に購入するLeicaの方が素晴らしいが)になった。これぞ機械式カメラの真骨頂のような気がする。

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メンテナンスは大阪へ

今でも手持ちのカメラは、大阪のカメラ屋さんへ持って行きメンテナンスをしてもらうようにしている。「1年に1回くらいはカメラ持ってきてや」というような感じで、対応していただいていることは非常にありがたいことだ。完全にお世話になってしまっているので、ウェストレベルファインダーが壊れてしまった時、急遽プリズムファインダーを手配してくれた。当日必要という急を要するシチュエーションだったのにも関わらず、即座に対応していただいた。まじで助かった。

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HASSELBLADは本当に思い入れがあるカメラだ。そんなカメラと共に今後も多くの場所に訪れたい。