Kikroing on the Tree

日記とポートフォリオ

留学から10年、あの時何を考え、今何を思うか。①

はじめに

留学から10年、あの時の経験をまとめてみようと、やや苦く若い経験を少し思い返しながら考えた。

あの留学で何を学び何を得られたか、当時のことを振り返り、今一度考え直す時期が来たのだろう。10年も経つと、当時の意気揚々とした若い自分の行動と、その後の苦く厳しかった現実と、挫けた恥ずかしい経験が、川の急流を流れてきた石のように小さく丸くなってきた。

はてなブログを通して、留学経験は多くの者が綴っている。ちらっと調べただけでも、かなりの数の記事がある。その中には、順風満帆な留学を終えた者、今現在学んでいる者、さらには、やや思い通りにならなかった経験談もある。

私の経験は、思い通りにならず挫折した経験に分類分けされることだろう。挫折が一緒くたに悪いものではないと気づけた今だからこそ、その時の経験を振り返り、当時何を思い描き、何を目指し、何で挫折したのか、かさぶたを剥がすように、思い返していきたいと思う。

そして、今何を思うか。これは、当時は辛かったけど今となっては良い思い出とかそういうものでなく、あの時こうしていればこうだったとか、あの時の経験に基づいて今、自分はどういう経験として認識し、それを固有の糧にしているのか。平たく言うと活かしているのか。そういったことを綴っていきたい。

こんな限界ブログの1記事であるが、いや限界ブログだからこその内容なのかもしれないが、しばしお付き合いいただけたらと思う。そして、留学へ少しでも興味がある方、留学を終えた方、海外で活躍されている方の1レイヤー、1要素としてのこんな人もいるんだという認知の1つになったら、それは大変名誉なことかもしれない。

何はともあれ、この記事を書き出したのは、奇しくも2024年2月14日のバレンタインデー。書き終えるまで、どれくらい月日がかかるだろうか。少しずつ書き上げていきたいと思う。

 

どうして英国で学びたいと思ったのか

あの時、どうして国内大学への進学でなく海外大学への進学という選択肢を選んだのか。まず当時思っていたことを振り返っていきたいと思う。時期は高校2年生の冬ぐらいだったと記憶している。早い人は大学受験に向けて、もうすでに受験勉強を始めている頃だ。

真面目だった私も受験を意識し始めており、気だけ焦っていた。大学受験もまた高校受験のように勉強して、それなりの大学に入っていくものと考えていた。ただ高校受験と違って、専攻を選ぶ必要があった。経済学や法学、何かを専攻したいがために、一生懸命勉強して目指す学部を受験する必要があったのだ。この選択が当時の私には難しかった。何かを専攻したい気持ちは無かったわけではないのだが、次の4年をそれに没頭できると思えなかったのかもしれない。思えば、没頭する必要もなく、それなりに勉強していれば、いつか魅力に気づき大いに力を入れて研究できたかもしれない。しかし、それが私にはできなかった。

私はここで「国内大学でやりたいことがない」と決めつけてしまったのかもしれない。ちゃんと調べれば数多の専攻があるにも関わらず。

また、同時に受験からの逃げもあったのだろう。当時、それなりに勉強ができていた。しかし、学習への反抗というか、経験は座学に勝るとか、とって付けたような言い訳をかざして、学業から手を抜いた。結果、まあ成績は学年の中間くらいには落ちた。内心かなり焦っていたが、例の言い訳を理由に下駄を厚く履かせ、ちっぽけなプライドを守っていた。

小学校から塾に通い、それなりに勉強ができる子を維持してきた私は、中学、高校でもそれなりの順風満帆人生最高路線を歩んできていた。ただこれは、敷かれたものである。この路線から外れて自分の力を確かめたいという気持ちもあったのかもしれない。都内のそれなりの大学へ入学し、それなりの企業に就職することが、どうしても「つまらない」と思ってしまったのだ。これが海外大学へ進学する一番の理由というか根拠というか原動力だったのかもしれない。自分は自分の力でどこまでできるのか。

もちろん、一般的な野心はあった。例えば、海外大学を卒業して外資系サラリーマンとして国際的な人材を目指したいとか、海外大学で専攻がかっちりハマり研究を続けたいとか、様々なバックグラウンドの人々の交流を深めることで自分の奥行きを深めたいとか。

しかし、やはり大きな原動力は、現状維持・既定路線への反抗だろう。そんなことを当時考えて英国留学を志した。なぜ英国かは、簡単だ。カッコ良いから。

 

とりあえず英国に行ってみる

それまで海外に行ったことがなかった私は、とりあえず英国に行ってみることにした。2週間の語学留学である。英会話のえの字もしてこなかった私には、英語で意思疎通する経験が皆無であった。現地では基本的な英会話トレーニングから文法練習まで色々やってきた。中でも楽しかったのは、そこに集まった異国の方々との会話である。日本人もちらほらいる中、特にイタリア人、フランス人、韓国人と仲良くしていた。特にイタリア人のリカルドとは、コロナ禍でチャットをするくらい交友関係が深まった。教室はOxfordにあったのだが、週末にLondonへ出て観光をしたり、Afternoon Teaでチップの洗礼を受けるなど初めての海外っぽい経験をした。

 

この時の短期留学を通じて、日本では馴染みにくい所謂アングロサクソン的な思考に魅力を感じた。俗に言うCritical thinkingとかLogical thinkingである。会話に形容詞的で副詞的な例外を省き、物事の原則を素直にまっすぐ見てグルーピングし議論する。そこから例外も考えていき、議論を結論へ結んでいくような思考。洗練されているとしか言いようがない。渡英前にも色々な情報誌で見ていたが、それを直に感じた。

2週間でかなり色々な体験をしてプチ留学を終えた。この時、高校3年の夏。言わずもがな、私の興味は、完全に海外大学で様々バックグラウンドをもつクラスメートとの議論に偏った。

 

ちょっと長文になりそうなので、ここで小休止。

次稿に続く...